カラーキャリブレーションについて
モニターの写り込みが気になったので、Amazonの空き箱でモニターフードを作ってみました。大人の工作。なかなか良いかんじに出来ました。(^-^)
ちなみに、現在はこちら。
EIZOのモニターを導入し、さらに良い環境になりました。
デスクスタンドは、プリントの色を正しく見ることができる専用のライトです。
今回はカラーキャリブレーションについて書きたいと思います。
12月になり、みなさん年賀状を作ってらっしゃることと思います。さて、お子さまや家族の写真をもとにデザインをしてプリンターで印刷した時に、モニターと同じようなかんじに仕上がっていますでしょうか?
やってみますと、明るさや色味を思いどおりに再現することが意外に難しいと感じると思います。まあ大体でいいや、って思っちゃいますよね。私も以前はそんな風でした。
そこで必要になってくるのが今回お話するカラーキャリブレーションです。モニターの写真とプリントを近づけるために設定をします。
先に書いておくのですが、カラーキャリブレーションってお金も手間もかかって、全然一般的でないと思います。アーティストの作品制作や写真愛好家の方にしか参考にならないかもしれません。いい感じにプリントするため(には苦労するんですよぅ 泣 )のテクニックとして書きたいと思います。
【カラーキャリブレーションの手順】
・モニターの仕様を確認する
・キャリブレーション機器で色設定ファイルを作る
・PCに色設定ファイルを登録する
・プリントテストを行う
→事前準備OK
・RAW現像、Photoshopで調整、印刷する
→完成
★注意点は、RAW現像・編集する前に色設定をして準備しておかないと作業が無駄になってしまうことです。
そもそもPCやOSがこれだけ進化しているのに、モニターで見た写真を同じようにプリントできないということに疑問を持ってしまいます。OSでもプリンターメーカーでも対策を用意してないわけではないのですが、残念ながらおまかせで満足いくことは少ないようです。
それでは、簡単にご紹介します。
【モニターの仕様を確認する】
色表現の規格はたくさんあります。その中でsRGBとAdobeRGBの2つがモニターに使われています。前者が標準的、後者がより多くの色を表現できます。お持ちのモニターの性能を確認してください。sRGB 98% AdobeRGB 99% とか書いてないでしょうか。
普通のモニターだったらsRGBのみです。AdobeRGBをサポートしているものはかなり高価です。
撮影した写真データにもどちらかの色設定を指定することができます。しかしモニターの性能の分だけしか色を表示することはできません。モニターで見たままに印刷するには、編集する環境と同じ色設定をデータに指定しておくほうが無難です。
私はMacBook Pro(2012 Retinaモデル)で写真編集作業をしています。 今まで印刷するデータにはAdobeRGBを指定していましたが、 MacBook ProはsRGB相当しか表示できないと知ってからはsRGBで処理をしています。
【キャリブレーション機器で色設定ファイルを作る】
つぎに、キャリブレーション機器を使ってモニターが表示する光を計測し、色設定ファイル(iccプロファイル)を作ります。
私が使っているのは、x-rite社のi1 Display Pro です。 ¥35000位します。これ結構高いですよね。本当は上位機種を使わないと良いプリント環境はできないのですが…20万近くするので、 せめてモニターの特性だけでも知り調整しようという最低限のツールとなります。
なお計測はモニターを30分ほど点灯させてからにしてください。 モニターの光量が落ち着いてから計測するほうがいいです。
★計測前に大事なポイント。Macにはモニターの明るさ自動調整機能がついています。この機能をオフにしてください。計測時にモニターの明るさを調整するので、自動調整機能が働くと無駄になってしまいます。システム環境設定>ディスプレイ>ディスプレイタブ>輝度を自動調節 のチェックを外します。ノートタイプの方は、システム環境設定>省エネルギー>バッテリータブ>バッテリー電源使用時はディスプレイを少し暗くする のチェックも外した方がいいです。これで明るさは変化しません。
こんなかんじにぶら下げて、モニターの光を計測します。合わせてPC周辺の環境光も計測します。専用のソフトウェアの指示に従っていけば簡単に終わります。ご使用の環境で正しく色が表示できるよう調整してくれます。設定はさきほど確認したモニターの性能で作成してください。出来たものをiccプロファイルといいます。
ちなみにWEBサイトなどPCで見る場合と、プリントする場合の2通り作っておくといいと思います。 WEB用は6500Kの色温度でiccプロファイルを作成し、プリント用は5000Kの色温度に設定するといいかもしれません。
このiccプロファイルは画面の明るさ(やその他のモニター調節機能)と組み合わせて使います。 切り替える時に必要なので、WEB用と印刷用のモニターセッティングをメモしておくといいです。ちなみにMacbook Proのモニターの明るさは16段階で上げ下げ出来ますが、option + shift を押しながら明るさキーを押すと、64段階に微調節することができますよ。
どのように設定を選んでいけば正解なのかは未だに試行錯誤です。難しいですね。カラーキャリブレーションについての本やWEBサイトを参考に勉強するしかないです。
経験的につかんだコツとしては、晴れた日の午後など暖かい日差しの時間帯で計測した方が、プリントが無難に処理される気がしています。 これは太陽の光を当ててプリントを見た時に、自然に感じる設定になります。うちの天井照明は白熱灯のオレンジ色なので、これをふまえて計測させてしまうと日中では違う色味に見えてしまいます。
なお、iccプロファイルは何ヶ月かに一度、まめに計測した方がよいです。
【PCに色設定ファイルを登録する】
作成したiccプロファイルをPCに登録します。Mac OSの場合は、システム環境設定>ディスプレイ>カラータブ で iccプロファイルを読み込んで選びます。すると、モニターの色味が変わりませんか?(変化がない場合もあります) 画面の中のグレーで表示されている場所が、赤すぎず青過ぎずちょうどいいグレーになっていたらいいかんじです。
【プリントテストを行う】
ほとんどの方がPhotoshopを使っているんじゃないかと思います。写真データを開く前に、メニュー>編集>カラー設定 でこれから作業する写真の色設定(sRGBかAdobeRGB)を選んでください。写真データを開いて、Photoshopの色校正機能を使ってみます。使用するプリント用紙にも色設定 iccプロファイルがあります。 たとえば、EPSONの写真用紙ならWEBサイトからダウンロードできます。 このiccプロファイルをPhotoshopの色校正機能で選ぶと、印刷した時にどうなるかシュミレーションしてくれます。モニターの見た目より少し暗くなるのがわかります。印刷物はモニターの光で表現する写真よりどうしても暗くなります。不自然に階調が飛ばないように、Photoshopで明るく補正するといいです。
テストプリントに使うデータは、 編集しなくてもよいくらいに上手に撮れた写真の中から、明暗があるものを使うといいと思います。
Photoshopで印刷する時にPhotoshopに色管理を任せて、さきほどのプリント用紙のiccプロファイルを選びます。 作成したモニターのiccプロファイルとプリント用紙のiccプロファイルを照らし合わせて色を調整し印刷してくれます。 知覚的、輝度、相対的、絶対的など調整具合いを選べます。どのモードがいいかは写真素材によって違うので、試してみてください。
【RAW現像、Photoshopで調整、印刷する】
納得いくプリントが得られましたら準備完了、いよいよRAW現像開始です。 フィルムデータよりはましとはいえ、デジタルカメラで撮影したままの写真はシャープさが少し足りません。Photoshopでもフィルタでアンシャープマスクをかけられますが、最近はRAW現像時にかけて締めてしまいます。
Canonのデジタルカメラは赤みが強いような気がします。 RAW現像かPhotoshopで色調補正をかけ、赤を少し抑えて自然な肌色に近づけます。
撮ったままで階調豊かで良いと感じる写真データは、大体編集をほとんどしなくてもよくて、 カラーキャリブレーションで困ることも少ないです。 なので、最近の私の課題は、階調豊かな写真を撮れるようになる、です。今まではストロボライトを使用することが少なかったのですが、階調やコントラスト、ディティールのメリハリを上げるためにライティングを工夫していきたいなぁと思っています。モノブロック(ライト)欲しいですね。
流れしかお伝えできていませんが、以上がカラーキャリブレーションについてです。 写真を撮る方にとってはカメラとPCとプリンターがあれば、思いどおりに表現し自己完結できる写真工房を持てることになります。 インターネットとSNSのおかげで発表の場もありますしね。 本当に素晴らしいです。
まとめまして、カラーキャリブレーションして自宅でプリントするより、キレイに印刷してくれるネットプリントサービスが見つかれば、安いし簡単でよいかもしれません。でも自分で写真作品を作ることはとても楽しいです。自由度がありクオリティが高いですし。上手に撮れた写真をプリントにしておくことを、ぜひオススメします。
きぃ
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